【時習26回3-7の会 0378】~「01月27日:深尾光洋氏講演『日本経済の展望~欧州sovereign危機に対応する~』を聴いて」「01月27日:『横山大観記念館』を訪れて」
■皆さん、今泉悟です。《会報》【0378】号をお届けします。
大学受験生達は、今月14(土)~15(日)に大学センター入試を終え、来月25日からの前期日程二次試験準備の最中にある。
そこで今週最初の話題は、母校【時習館高校】ではないが、最近では全国Top levelの進学校となった【岡崎高校】についてである。
岡崎高校は、東大合格者数で旭ヶ丘高校を抜き県下No.1となって既に久しい。最近では全国の公立高校の中で第1位の実績を挙げ続けてもいる。
そこで今日は、この【岡崎高校】躍進の理由について迫ってみたい。
以下に【近年における岡崎高校の東大合格者数推移】を挙げる。
2008年:40名(全国第11位。公立でTop)〔参考〕【時習館25名】【旭丘25名】
2009年:42名(同12位。公立でTop)
2010年:41名(同12位。公立でTop)〔参考〕【時習館18名】
2011年:38名(同11位。公立でTop)
我々の学生時代は、【2637の会】membersの飯田君や金子君の様に、西尾市や安城市という岡崎高校の方が近くても時習館高校に通って来る優秀な人材が少なからず存在したのである。
ところが今では逆に、豊橋市内在住者でも岡崎高校に通う者がいる。時代は変わったのである。(汗)
それでは何故、この様に岡崎高校が「超」進学校へと変貌したのであろうか?
それは様々な要因があるが、一つにはトヨタ自動車の成長が挙げられる。同社が世界に冠たる大企業へと成長していくと共に優秀な人材がトヨタ自動車本社のある豊田市内及び周辺市町村に集積し出したことが大きい。
因みに10年近く前のことであるが、小生が豊田市内に勤務していた頃、関係者から聞いた処によると、その当時「トヨタ自動車本体だけで、正社員のうち(‥東大出身者数は聞かなかったが‥)京大出身者が500名強、名大出身者は700名を優に超え」ていた。現在はもっと増えているだろう。
刈谷市に本社のあるデンソー、アイシン精機、豊田自動織機等、西三河にあるトヨタ自動車関連企業も含めると相当な人数になる。従業員数は単体に限っても、トヨタ自動車約7万人、デンソー約4万人に及ぶ、という具合であるから‥。
これに加えて見逃せないのが、文部科学省所管の研究機関である【岡崎国立共同研究機構】の岡崎進出である。昭和56年愛知教育大学図書館跡地〔岡崎市明大寺町〕に設立された同機構は、分子科学研究所・基礎生物学研究所・生理学研究所から成り、3研究所の研究教育職員・技術職員数は300人近くに及ぶ(2009年現在)。当該研究所における研究経験者で東大や京大の物理学者や化学者になっている者がかなりの数に及ぶという。
事程左様に、トヨタ自動車及び同社の主要関連企業と岡崎国立共同研究機構に勤務する優秀な役職員の子弟が岡崎高校に進学した結果が現在の【岡崎高校】躍進に結びつき、そのsynergy効果として、岡崎市周辺市町村で、従来、時習館高校に進学していた蒲郡市や豊川市の中学卒業者まで岡崎高校に進学する様になったのである。
愛知県の公立の進学校は、現在岡崎高校を頂点に、旧No.中学〔第一:旭ヶ丘、第四:時習館、第五:瑞陵、第六:一宮、第七:半田、第八:刈谷(因みに、岡崎高校は第二、津島高校が第三である)〕等がそれに続くという構図になっている。
■さて話変わって、小生、一昨日27日に上京した折、都内で慶應義塾大学商学部教授で公益社団法人日本経済研究センター理事・研究顧問の深尾光洋氏の講演『日本経済の展望~欧州sovereign危機に対応する~』を聴いて来たのでその概略についてご報告する。概略は以下の通りである。
*
欧州sovereign危機は凡そ以下の流れで起こった。
EU通過統合〔ギリシアがEuro通貨統合が発効した2001年〕以降、EUは統合bubbleに浮かれた恰好になった。
即ち、通貨統合前PIIGS(葡・愛蘭・伊・ギ・西の5箇国)の10年もの国債金利は10%を超えていたが、Euro通貨統合後は、何れの国も独仏並みの5%を下回る低位安定で推移した。
これにより、Euro圏各国は、低金利を背景に積極的な設備投資景気に湧き、またIreland等は、金利低下の下、CDS(Credit default swap)取引を積極活用。2008年半ば迄は順調な景気拡大(=実態はかなりbubbleの色彩が強い‥)がEuro圏で進み繁栄を謳歌した。
が、欧州の好景気も2008年09月に起こったLehman Shock後は急降下。当該Euro圏の主要金融機関がCDS取引等で大量の不良債権を抱え、当該国政府は多額の財政出動で当該金融機関の信用危機を一応は封じ込めた。
この時より、同じEuro通貨圏各国国債の金利の格差が再び拡大し始めた。PIIGS、中でもギリシアは足許年率30%超という異常事態に直面している。所謂《ギリシア危機》である。
ギリシア以外でも、IrelandやPortugalも10%を超えた異常な状況下にある。
ギリシアがEuro圏内の中で問題であるのは、
①財政規律がかなりlooseであり、徴税systemも機能しにくい
②外貨を稼ぐ主要産業が、観光・海運くらいしかなく、資金をギリシア国内に呼び込む力に乏しい
③ギリシア政府が財政健全化を図る為歳出を抑制すると、景気が悪化し、経常収支が更に赤字拡大するという悪循環に繋がる。
私(深尾)は、ギリシアは結局は財政破綻〔Default〕は避けられないであろう、と思う。
ギリシアの財政が破綻すると、同国の預金保険機構も支払不能に陥り、同国金融機関もほぼ同時に破綻する。
ただ私は、ギリシアが破綻した程度ではEuro圏は大丈夫だと考えている。
ギリシアのGDPは、独一国の1割程度の規模と小さいことから、ECB(欧州中央銀行)とEFSF(The European Financial Stability Facility:欧州金融安定化ファシリティ)の支援等で何とか持ち堪えられる。
問題はItalyである。同国が財政破綻を起こすと、GDP世界7位と規模が大き過ぎる為、流石の独も支えら切れずEuro圏の瓦解が不可避となる。
《ギリシア危機と従来型の途上国通貨危機との違い》
①従来型通貨危機の場合、当該国は独自通貨と中央銀行を持っていたので、通貨切下げと、独自の金利政策を実施出来た。
②しかし、ギリシアには、いま独自通貨と中央銀行を持たない為、通貨切下げによる景気刺激策が打てない。
③独等Euro圏主要国は、ギリシアに対して長期間に亘る金融支援を迫られる。これは独等主要国内でのギリシア支援反対世論増大を招き、Euro危機が深刻化する。
《日本の財政危機の可能性》
①日本は、伊・ギリシア・愛蘭との違いを理解する必要がある‥日本は最後の手段として日本銀行借入が可能
②日本は純対外資産がGDP比60%あり、うち外貨準備額がGDP比20%ある世界最大の債権国
③万一、資本が国外へ逃避した場合円安となるが、円建借財の多い日本国政府と輸出産業の民間部門はその円安の恩恵を被る
④財政赤字による国債残高の急増が懸念材料だが、当面長期金利も上昇しない
⑤日本は対外債権国であり、当面経常黒字が見込まれる〔←資金が世界から日本に流入する〕
⑥しかし、財政赤字はGDP比10%近くあり、政府純債務(=政府の総債務残高から、政府が保有する金融資産を差し引いたもの)GDP比率も100%を超え、ギリシアや愛蘭より悪い状況にある
⑦近未来に、長期金利が上昇し始めるriskはある
【小生comment】
ギリシア危機の発生原因と現状等についてはよく解った。
が、今後どうなるか? 日本経済に与える影響度合や日本財政破綻回避への方策についてはこれといった妙手がなかったのは残念であった。
■今日最後の話題は、27日に上京した折、講演会場の近くにあった「横山大観記念館」と三菱一号館美術館へ、開催中の「ルドンと象徴主義~1880年代を中心に」展を見て来たので、今日はまず「横山大観記念館」訪問の模様をお伝え致したい。
「横山大観記念館」は、明治・大正・昭和前期の日本画界の巨匠、横山大観が明治42(1909)年から起居し、数々の名作を生み出した由(ゆかり)の場所である。
戦災後、昭和29年に再建した邸を、昭和51年より美術館として公開している。木造の邸は上野の不忍池の西畔にある。
余談だが、大観記念館の南西至近に湯島天神があったので、同館を訪れる前に愚息の合格祈願の御札&御守りを買った。親バカである‥。(笑)
[01]湯島天満宮北口

------------------------[02]湯島天満具社殿前に掲げられた膨大な合格祈願「絵馬」

------------------------[04]横山大観記念館leaflet

横山大観の略歴を以下に記す。
【略歴】
明治01(1868)年 09月18日、水戸藩士酒井捨彦の長男に生まれる
明治26(1893)年 東京美術学校(東京藝術大学)卒業(第01期生)
明治31(1898)年 師、岡倉天心を中心に、日本美術院を創立
明治36~38(1903-05)年 菱田春草とインド・米国・欧州を廻る
明治43(1910)年 中国を旅行
昭和05(1930)年 ローマ開催の日本美術展の為訪伊
昭和12(1937)年 竹内栖鳳、安井曾太郎、岡田三郎助と共に第一回文化勲章受章
昭和33(1958)年 02月26日死去(享年90歳)、谷中墓地に埋葬さる
ここで、横山大観自身が書いた「大観のことば」の中から面白い話を一つご紹介したい。
お酒をこよなく愛した「大観ならでは‥」のことばである‥(笑)
【 酒の話 】
酒といえば、この大観を大酒飲みと思っている人があるかもしれないが、これは違う。
私はただ酒を愛するだけだ。酒を愛するの徒ということがあるが、ただそれだけだ。昔は二升位はやったが、今は一升というところだろう。一升といっても一時にやるのではない、朝、ひる、晩、三回に分けてやるのだから大したことはない。『大観自叙小伝』
それでは、添付写真の絵をご覧下さい。
[06]横山大観『村童観猿翁図』1893年

------------------------[07]同『無我』1897年

------------------------[09]同『梅花』1929年

------------------------[11]同『霊峰飛鶴』1953年

【小生comment】
大観の「(酒を一升飲むといっても)朝、ひる、晩と三回に分けてやるのだから大したことはない!???」。
朝から三合ずつ酒を飲んでへっちゃらで、齢、数え90歳まで生き抜いたのだから凄い。添付写真[12]〔絶筆〕『不二』は89歳の作品という。頭が下がる。小生も大観先生を見習いたい。(笑)
【後記】上野の不忍池(しのばずのいけ)の西畔に静かな佇まいの横山大観邸があった。大都会東京にもこういう落ち着いた場所があるのだと変に感心した。(笑)
正午前であったが、不忍池には添付写真の様にカモメや鴨たちが羽を休めていた。風情があってとてもいい。忙中閑の絵画的一コマである。
ここで小生、また拙い俳句が一句浮かんだ。
不忍に杭毎(くいごと)休む冬鷗 悟空
ではまた‥。(了)
*
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