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2013年3月の5件の記事

2013年3月31日 (日)

【時習26回3-7の会 0439】~「03月20日:豊川市桜ヶ丘ミュージアム『描かれた日本の美~さくら展~咲き誇る桜とともに』を見て」「なかにし礼著『生きる力~心でがんに克つ~』を読んで」

■皆さんお元気ですか、今泉悟です。《会報》【0439】号をお届けします。
 三月も今日一日を残すのみとなりました。

 今日は曇天ではっきりしない天気ですが、昨日は絶好の花見日和でした。
 実は小生、今日ご紹介する豊川市桜ヶ丘museum『さくら展』の中の作品にある守屋多々志の作品が見たくなって彼の美術館がある、彼の故郷・大垣市を訪ねた。
 大垣城や、水門(すいもん)川両岸には桜や辛夷(コブシ)が満開で、正に絶景であった。
 おっと、この模様は来週の《会報》でご報告致します。お楽しみに‥!(^-')b

 さて、先週央(03月27日)の日本経済新聞でに載っていた「イオンは27日、ダイエーに対してTOB(株式公開買付)を実施し、子会社にする」という記事に思わず眼が止まった。
 そして、小生、有名な、平家物語〔巻一〕の「祇園精舎の鐘の聲、諸行無常の響あり 娑羅(しゃら)雙樹の花の色、盛者(じやうしや)必衰のことはりをあらはす おごれる人も久しからず、只春の夜(よ)の夢のごとし」の一節が頭に浮かんだ‥。
 企業も生き物だ。世の中は『無常』である。
 小生、ダイエーというと同社創業者で社長兼会長の中内功氏について以下の様な思い出がある‥。

 今から丁度20年余り前のことである。小生、その頃は旧銀行に勤務していた時代で、本部にて役員室担当の職にあった。
 四半期毎開催される定時取締役会に、参与として参加されていた方々の中の一人として、ダイエー創業者で当時、会長兼社長であった中内功(【小生補足】「功」は正しくは「力」でなく「刀」)氏を何回か間近で拝顔ことがあった。当時はbubble崩壊直後の頃だった為、全盛期を過ぎていたとは言え、氏は、実に「威風堂々」とされた大経営者としての風格が身体全体から滲み出ていた様に感じたことをよく覚えている。
 ダイエーは、昭和32年、神戸市に「主婦の店ダイエー」として産声をあげ、20年余り経った昭和55年02月、業界初の売上高1兆円を達成。
 同社は、20世紀の日本の流通・小売業界のtop企業として斯業界を発展させて来た代表的企業であった。
 高度成長時代から平成の初期頃迄、ダイエーは、イトーヨーカドーと業界topの座を争っており、イオン(=2001年に「ジャスコ」から社名変更‥)は、これ等2社の後塵を拝す三番手企業であった。
 だから、「『ダイエー』が『イオン』の子会社になるなんて‥」。
 厳しい企業社会の現実を見、改めて経営の難しさを痛感した。
 市場が成熟化し、将来的にも少子高齢化により需要減少が避けられない日本市場の未来を展望すると、国内市場だけで生き残りを図るとすれば、供給側の企業はリストラ合併するしか生き残りの道は有り得ないのである。
 因みに、小生が勤めていた旧都市銀行も往時は13行〔一勧・富士・住友・三菱・三和・東海・太陽神戸・三井・協和・大和・埼玉・拓銀・東京〕もあったが、現在では、3megaと1super regionalの4行に収斂されて仕舞っていることは、皆さんもご存知のことと思います。

■さて、今日最初の話題は掲題・副題にある様に、豊川市桜ヶ丘ミュージアムにて開催中の『描かれた日本の美~さくら展~咲き誇る桜とともに』展についてである。
 もう先々週になるが、03月20日「春分の日」は、春の彼岸の中日でもあり、市内にある菩提寺へ親父と共に亡母を弔うべく春の法要に参加した。
 終わったのが正午前。それから親父と一緒に豊川市桜ヶ丘ミュージアムを訪れた。菩提寺から車で30分弱で到着した。
 小生、当館の訪問は初めてである。
 本展は、豊川市が本年06月01日に市制70周年を迎えることを記念して開催されるとの由。
 展覧会場となる桜ヶ丘ミュージアムは、かつて桜の名所として有名であった「桜の馬場」に跡地にある。
 「桜ヶ丘」と名が付いている様に、現在も公園として、春には岐阜県根尾谷から移植された薄墨桜やソメイヨシノが色採りを添えている。
 それでは、桜の名画をお楽しみ下さい。

[00]豊川市桜ヶ丘ミュージアム『さくら』展leaflet
 00leaflet

------------------------[01]西村五雲(1877-1938)『吉野の桜』明治中期
 0118771938

[02]菱田春草(1874-1911)『春色』1905年
 02187419111905

------------------------[03]伊東深水(1898-1972)『春雨』
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[04]中村正義(1924-1977)『花見』1969年
 04192419771969

------------------------[05]守屋多々志(1912-2003)『朧月夜の君』1970年代頃
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[06]守屋多々志(1912-2003)『おぼろ』1988年
 06191220031988

------------------------[07]稗田一穂(1920-)『春野』1976年
 0719201976

[08]林潤一(1943-)『春宵薄墨桜』1987年
 0819431987

------------------------[09]後藤純男(1930-)『薄墨桜』1987年
 0919301987

[10]橋本博英(1933-2000)『春の道』1992年
 10193320001992

------------------------[11]中島千波(1945-)『樹霊薄墨桜』1993年
 1119451993

[12]平川敏夫(1924-2006)『三河八景・菅生川春宵』1994年
 12192420061994

------------------------[13]岩原良仁(1937-)『桜』1999年
 1319371999

[14]守屋多々志(1912-2003)『みだれ髪(与謝野晶子)』2001年
 14191220032001

------------------------[15]松村公嗣(1948-)『おぼろ月』2002年
 1519482002

【小生comment】
 本展は、『桜づくし』の絵画展でなかなか良かった。「美しいもの」は小生、理屈抜きに好きである!(^-')b
 展示作品の中では、[10]橋本博英『春の道』が一番気に入った。鮮やかな色彩で立体感があって見ていて気持ちが実に良い。
 [12]平川敏夫の作品は「『春の宵』の岡崎城」を描いたものである。品格ある傑作だと思う。因みに彼は豊川市(旧・小坂井町)出身。
 [15]松村公嗣(こうじ)は小生が最近最も注目いしている日本画家。現・愛知県立芸術大学学長。
 [05][06]守屋多々志は大垣市出身の日本画家で文化勲章受賞者。大垣市に彼の美術館があるので、直ぐ近くにある大垣城と一緒に来週見て来るつもりである。

■今日最後の話題は、作詩家・小説家なかにし礼著『生きる力~心でがんに克つ~』についてご紹介したい。

[16]なかにし礼『生きる力~心でがんに克つ~』
 16

------------------------[17]Sir William Henry Bragg
 17sir_william_henry_bragg

 最近、新聞の広告で本書を見つけた。なかにし礼氏は、「陽子線治療」という最先端の先進医療により患部を切らずに完治(=原状回復)したという。
 「どんな治療法だろう?」思って読んでみた。
 陽子線治療について氏は本書で次の様に述べている。

 陽子線。これは水素の原子核を利用したもので、これを加速器で加速すると物質を透過する性質を持つ。しかも透過している最中、そのenergyは極めて小さく、健康な肉体にdamageを与える可能性はX線に比べると低い。そして陽子線は電磁波ではなく粒子なので質量がある。だからある一定の抵抗を受けると止まり、その時点で最大のenergyを放出する。この性質はNobel賞を受賞した英国の物理学者Sir William Henry Braggが発見し、その為この停止する地点を「Bragg peak」と呼ぶ様になった。さて、この加速した陽子を患者の体内に向け、丁度がん患部の位置にBragg peakが来る様に調節して照射すれば、狙った患部だけ多大なdamageを与えることが出来、しかも副作用の可能性を最小限に抑えることが出来る。これが「陽子線治療」のmechanismだ。P.122~123
 このBragg peakを利用した治療には炭素ion線を使った「重粒子線治療」もある。こちらは陽子線よりも大きな粒子なので、患部に与えるdamageは同じ量の照射でも陽子線の三倍になるという。だが例えば患部の近くにある健康な部位にも同様のdamageが与えられて仕舞う可能性もあるし、粘膜など影響を受け易い箇所が対象部位となる場合には、副作用が起きて仕舞う可能性が高まる。私の場合は、リンパ節への転移があった為、重粒子線が適応とならなかった。ただ、もし適応となる状態のがんであれば、重粒子線の方がより少ない照射量での効果が期待出来る。〔中略〕
 (陽子線治療は)保険適用外の為、患者は自己負担で300万円近くを払わなくてはならない。〔中略〕
 一日も早く、陽子線治療をもっと一般的なものにすべく、国が努力すべきだ。また、生命保険会社の保険には「先進医療特約」というものがあり、月々の支払いに百数十円足すだけで、いざという時には先進医療が受けられる様になっている。だから費用の心配をして悩む位ならば、一刻も早く先進医療特約付きのがん保険に加入すべきだと思う。〔中略〕
 陽子線治療については各病院がInternetのhome pageに素人にも分かる様に詳しい説明をしている。それをじっくり読んで、考え、決定することが肝心だ。時代はもうここ迄来ていることを認識すべきだ。P.125

【小生comment】
 なかにし礼氏の様に、4cmもあった「食道がん」が「切除もせずに跡形もなく完治する」なんて‥、陽子線治療は凄い!
 氏のsuggestionに強く衝撃を受けた小生、早速、自分が現在加入しているがん保険の代理店に電話照会してみた。
 若干の負担増で先進医療特約が付保出来るということであったので早速資料を請求してみることにした。
 因みに、厚生労働省の調べに拠ると、現在、日本人の40歳~89歳の死亡原因の第一位は「がん」である。
 しかも、50歳~69歳に至っては死因の45~48%、即ち半分近くが「がん」である。
 Internetで調べたら、なかにし氏が7つと言っていた陽子線治療の医療機関は今日現在、全国に8つあることがわかった。
 参考迄に以下に記します。

【陽子線治療機関】
 筑波大学陽子線医学利用研究センター
 国立がん研究センター東病院
 静岡県立静岡がんセンター
 若狭湾エネルギー研究センター
 兵庫県立粒子線医療センター
 南東北がん陽子線治療センター
 相澤病院陽子線治療センター
 名古屋陽子線治療センター(お問い合わせ:名古屋市立西部医療センター ℡ 052-992-8121)

【後記】今日も、今拙宅の中庭に咲いている花をご紹介してお別れします。今日は『海棠』の花。

[18]拙宅の海棠花01
 1801

------------------------[19]同上02
 1902

[20]同上03
 2003

------------------------[21]同上04
 2104

[22]同上05
 2205

 この花を歌った中唐の女流詩人薛濤(せっとう)の作品から「海棠渓」です。

  海棠渓  薛濤
 春教風景駐仙霞
 水面魚身総帯花
 人世不思霊卉異
 競将紅纈染軽沙

 春は風景をして 仙霞を駐(とど)めしめ
 水面の魚身 総て花を帯ぶ
 人世(じんせい)思わず 霊卉(れいき)の異(い)を
 競って紅纈を将(も)って 軽沙を染む

【意】春は、風と光の中に仙界の朝焼けとも見紛う程の鮮やかさを海棠の花が辺り一面漂わせている
 清流に泳ぐ魚が花模様を帯びたかの様に花影が水面に映っている
 世間では、この海棠の霊妙な業(わざ)に気がつかない儘
 競って河原の砂を赤い絞りで赤く染めようとしている

 さあ、明日からは平成25年度、新年度(新学期)が始まります。
 健康に留意して、一年を元気に過ごして参りましょう!
 ではまた‥(了)

2013年3月23日 (土)

【時習26回3-7の会 0438】~「03月17日:『第4回東三河の酒蔵を知る会』に参加して」「03月09日:東京国立近代美術館『フランシス・ベーコン展』を見て」「03月16:メナード美術館~開館25周年記念『collection名作展Ⅱ~秘められた美~』展&名都美術館『早春の調べ』展をみて」「岩田規久男『日本銀行~デフレの番人~』を読んで」

■皆さんお元気ですか、今泉悟です。《会報》【0438】号をお届けします。
 03月も20日『春分』を過ぎ、桜の開花宣言も既に発表されました。
 因みに、鹿児島(名勝仙厳園)15日、熊本(熊本城)&東京(上野公園)16日、横浜(三渓園)18日、名古屋(名古屋城)19日といった処です。
 関西は和歌山(和歌山城)が横浜と同じ18日に開花した他は21日現在の処まだの様です。
 ご当地豊橋も名古屋とほぼ同じ時期に開花したものと思われます。
 寒暖の差が激しいこの一週間でしたが、皆さん、お元気でお過ごしですか?

■さて、今日は前《会報》にて予告しました様に、先週17日(日)17時から名豊ビル本館7階hallにて開催された『第4回東三河の酒蔵を知る会』に参加しましたので、その模様からお伝えします。
 本会は、開催日の丁度一月前の02月17日に「蔵開き」した『不老門』の「伊勢屋商店」に、『四海王』の「福井酒造」を加えた酒蔵2社が豊橋市を代表。この他『蓬莱泉』の「関谷醸造(設楽町)」と『朝日嶽』の「日野屋商店(新城市)」の2社を加えた4社が東三河代表、それに『孝の司』の「柴田酒造場(岡崎市)」と『神杉』の「神杉酒造(安城市)」の計6社の酒蔵が出品しました。
 開始予定の17時に会場の名豊ビルディング7階hallに到着。
 事前ticket販売250人限定販売(3,000円)であったが威勢の良い和太鼓の演奏もあって熱気に満ちた会であった。
 小生は、杉原さんからの誘いもあって参加したが、本会には、時習26回生8人〔中嶋(2)、平田(5)、大谷(6)、今泉(7)、矢野(8)、酒井・杉原(9)、武野(10)(以上敬称略)、【注】( )内の数値は3年次組〕が参加した。矢野君と酒井君は「名古屋支部」からの参加である。
 そこで朗報があった。名古屋支部の矢野君と酒井君が、「時習26回生卒業記念旅行&懇親会」の「京都事前旅行」に参加表明してくれたのである。
 これで今日(03月23日)現在、11名が参加表明してくれたことになる。嬉しいことである。
 さて、本会は19時00分迄の2時間が開催予定時間であったが、小生は1時間程で中座した。まだ作成中であった本《会報》【2637の会 0438】号を書き上げる為に‥。
 早目に切り上げないと、小生、日本酒は美味しくで大好きなのだが、あまり強い方ではなく、2合も飲むとすぐ眠くなって仕舞うのである。
 因みに、以下の添付写真2枚は参加者の全体写真である。

[00a]第4回東三河の酒蔵を知る会にて‥時習26回生同期の面々01‥
 00a2601

------------------------[00b]同上02‥
 00b2602

■さて続いては、前回と前々回2回に亘って《会報》でお伝えした、03月09日に上京した際見て来た、東京の3つの美術館第3弾(最終回)である。
 東京国立近代美術館『フランシス・ベーコン』展の模様をお伝えします。
 フランシス・ベーコン(1909-1992)と言っても、皆さんが歴史で習った英国の哲学者・神学者・法学者(Francis Bacon(1561-1626)とは勿論別人である。
 彼は、IrelandのDublinに生まれ、英国Londonを拠点に活躍した世界的な画家である。
 と言っても、日本ではあまり馴染みがないと言っても過言でない。1983年に当館他での個展以来、30年間に亘り大規模な展覧会は日本では開催されて来なかったからである。
 本展は、生前のべーコンがdebutの時期として認めていた1940年代半ばから、没する直前の1991年迄の「身体表現」についての代表作33点を展示している。

[00d]東京国立近代美術館入口『フランシス・ベーコン』展看板前にて‥中嶋君‥
 00c

------------------------[00e]同上‥小生‥
 00d

[01]Francis Becon展leaflet 絵は『ジョージ・ダイアの三習作(Three Studies of George Dyer)』から2つ1969年
 01francis_beconleaflet_three_stud_2

------------------------[02]Francis Becon 1967年
 02franc_becon_1967

[03]Francis Becon『屈む裸体の為の習作(Study for Crouching Nude)』1952年
 03francis_beconstudy_for_crouching_

------------------------[04]同『座る人物像(枢機卿)Figure Seated(The Cardinal)』1955年
 04francisbeconfigure_seatedthe_card

[05]同『ファン・ゴッホの肖像の為の習作Ⅵ(Study for a Portrait of Van Gogh)』1957年
 05francis_beconstudy_for_a_portrait

------------------------[06]同『椅子から立ち上がる男(Man Getting up from a Chair)』1968年
 06francis_beconman_getting_up_from_

'
[07]『東京Olympic1964/design project』leaflet
 07olympic1964design_projectleaflet

【小生comment】
 「Beconが、『身体表現』に関心を持つ者に影響を与え続けている」と解説があった。
 ただ小生、彼の作品は正直言って好きにはなれなかった。基本的にgrotesqueなものが嫌いだからである。
 一方、同時開催されていた「東京オリンピック1964/デザイン・プロジェクト」は大変懐かしく観覧させて貰った。
 添付写真leafletにある「陸上・日ノ丸・水泳」のposterは、1964年当時、銀行の貯金箱で貰った記憶がある。懐かしかった‥。

■さて続いては、去る03月16日、次男が名古屋へ下宿することになり一部荷物を車で運んだ帰途、メナード美術館と名都美術館に立ち寄り、いずれも所蔵展であったが見て来た。
 先ず最初に向かったのは小牧市内にあるメナード美術館である。

[08] メナード美術館~開館25周年記念『collection名作展Ⅱ~秘められた美~』展leaflet
 08_25collectionleaflet

【小生comment】
 本展は、メナード美術館の所蔵展である。
 同館leafletにある絵は本展の展示作品の一つで、葛飾北斎の娘、葛飾応為(おうい)作の『夜桜美人図』である。
 葛飾応為は、天才画家・版画家葛飾北斎の娘であるが、流石は巨匠の娘である。素晴らしい作品である。
 副題「―古美術と版画―」の版画としては、ロートレック、マティス、シャガール、国吉康雄のlithograph、ルオーの銅版画、そして、国内では葛飾北斎『富嶽三十六景/凱風快晴』、東洲斎写楽『市川男女蔵(おめぞう)の奴一平(やっこいっぺい)』等が見る者を魅了した。
 本展では、「メナード オリジナル版画」として、現代日本画家・洋画家に拠る版画33点が展示され、いずれも綺麗で、展示会に華やいだ雰囲気を与えていた。

[09]名都美術館『早春の調べ』展leaflet 絵は、横山大観『正気放光』1942年
 09leaflet_1942

【小生comment】
 続いて向かったのが、長久手市にある名都美術館である。
 本展も同館所蔵品展で、開催季節に合わせ『早春の調べ』と銘打った展覧会である。
 展示作品数は日本画40点。
 伊藤嘉晃、伊東小坡、入江波光、大智勝観、大山忠作、奥村土牛、加山又造、川合玉堂、小林古径、榊原紫峰、髙山辰雄、竹内栖鳳、堂本印象、徳岡神泉、富岡鐵斎、冨田渓仙、橋本関雪、速水御舟、東山魁夷、平山郁夫、福田平八郎、前田青邨、安田靫彦、山口華楊、山中雪人、横山大観、等々、錚々たる泰斗達の展示作品である。
 今日はその中から、今迄ご紹介して来なかった作品を中心に幾つかご紹介したい。

[10]伊藤嘉晃『薄墨桜』1995年
 101995

------------------------[11]伊藤小坡『春のよそほい』1930年
 111930

[12]大橋翠石『獅子虎』1915~25年
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------------------------[13]高山辰雄『静夜』
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[14]徳岡神泉『鯉』
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------------------------[15]速水御舟『コモ湖暮色』1934年
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[16]平山郁夫『西藏布達拉宮』
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------------------------[17]横山大観『梅花』1934年
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■今日最後の話題は、今月、日銀副総裁に就任した学習院大学教授、岩田規久男氏の著『日本銀行~デフレの番人~』についてご紹介したい。

[18] 岩田規久男氏の著『日本銀行~デフレの番人~』
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 政府は19日の閣議で、日本銀行の新総裁に黒田東彦(はるひこ)・元アジア開発銀行(ADB)総裁(68歳)、新副総裁に岩田規久男・学習院大教授(70歳)、中曽(なかそ)宏・日銀理事(59歳)を充てる人事を正式に決定し、20日に発令した。大胆な金融緩和に拠るデフレ脱却をmissionとする強力な布陣と言える。
 今日は、その新副総裁に就任した岩田規久男氏が、2012年06月に上梓した著作からご紹介したい。
 本著で岩田氏は、「日本の失われた20年のデフレは、日銀の間違った金融政策の結果である」と喝破している。
 氏は、「不十分な金融緩和でデフレ脱却に失敗した日銀は、その原因を金融政策以外に求め、自らの金融政策の失敗に拠りデフレ脱却出来ずにいる責任を回避している」と糾弾する。
 今日は、氏が「第7章/こうすれば、デフレを脱却して財政再建ができる」で結論として述べているのでその概略をご紹介する。

◆デフレ予想をインフレ予想に転換することが不可欠 P.198
 一旦デフレ予想が人々の間に定着すると、家計や企業や金融機関等はデフレを予想して、消費や投資や資産選択を決定する様になる。その為結果的に、デフレが実現する。
 逆に、人々がインフレを予想して行動する様になれば、結果的に、インフレが実現する。
 したがって、1990年代中頃から、私達の間に定着したデフレ予想を覆して、インフレ予想に転換することが出来れば、デフレからの脱却に成功する。デフレを脱却すれば、穏やかなインフレの下で、名目成長率も実質成長率も上がり、雇用も増加する。
 これ迄明らかにした様に、人々の間にデフレ予想が定着したのは、日銀の「日銀理論」に基づく金融政策の為である。したがって、デフレ予想を覆し、インフレ予想の形成を図る為には、金融政策の枠組を変えれば良い。

【小生補足】氏の論理は至極尤もである。例えば、家電製品を買う消費者の立場で考えてみれば良く解る。
 即ち、人々がデフレになると予想すれば、買いたい家電は待てば待つ程価格が下がる。だから買い控えをする。売り手は売らざるを得ないからドンドンと売価を値下げする為、デフレが一層進行する。売価が下がれば、当然に利益も減る。そうすれば売り手側の従業員の賃金も減少することとなり、その従業員、即ち消費者は商品の一層の値下がりを期待する。‥これがデフレ・spiralである。
 一方、人々がインフレを予想すると、消費者の購買意欲は高まる。即ち、将来売価が値上がりすると「買い急ぎ」というincentiveが働く。消費者の購買意欲が高まると売上増進に繋がり、需給関係から売価の値上げも容易となる。売価が値上がれば売り手側の利益も増える為、そこで働く従業員の賃金も増える。そうすれば賃金(=所得)の増えた当該従業員、即ち消費者は売価の値上がりに対する許容度も増えインフレへと繋がっていく。

◆まず、日銀がインフレ目標をcommit(=約束)する P.199
 インフレ予想の形成を促す金融政策の枠組は、インフレ目標政策である。〔中略〕
 インフレ目標は雇用の最大化と両立する様な水準に決定する。最近20年程の期間の失業率とインフレ率(総合消費者物価指数前年比)の関係を観察すると、インフレ率が中期的に1~3%の間にあれば、雇用最大化(=失業率の最小化)が達成される可能性が大きいと推測される。したがって、中期的なインフレ目標を2%に設定し、上下1%を許容範囲とすることが適当であろう。これはEngland銀行のインフレ目標値と同じである。
 この様に日銀法を改正して、インフレ目標値を設定すれば、日銀はインフレ目標の達成に責任を持ってcommitせざるを得なくなる。このインフレ目標値の明確化とその達成への日銀のcommitmentだけで、市場の予想インフレ率は急上昇するであろう。そのことは、2012年02月14日の日銀の「目途」という「インフレ目標もどき」でさえ、予想インフレ率を大きく引き上げた、という経験からも明らかである。

【小生comment】岩田氏の卓見は見事である。本著が上梓された2012年06月。同年12月に発足した第2次安倍晋三内閣のインフレtarget2%宣言と、その後の円安・株価上昇は正に岩田氏の述べた(‥予言した‥)通りとなっている。氏は、この第7章で次の様に述べている。以下にその小題目と若干の解説を記す。

◆予想インフレ率の上昇は、円安を齎す P.203
◆円安になると、輸出が増え、輸入が減り、設備投資が増える P.205
◆円安になると、実質国内総生産は増え、雇用も増える P.207
◆予想インフレ率が上昇し、円安になると、株価が上がる P.209
◆株価が上昇すると、企業設備投資が増える P.211
◆予想インフレ率が上がると、予想実質金利(=名目金利-予想インフレ率)は下がり、企業設備投資が増える P.212
◆需給gapが縮小して、物価が上がり、デフレは終わる P.215
◆銀行の貸出と貨幣が増えなくても、デフレが脱却出来るのは何故か? P.217
 ‥→・それは、長い間、デフレが続いた日本では、家計だけでなく、企業迄もが金余りで、取引に使うことのない貨幣を資産として、十分に持っているからである。
 この金余りの状況で、monetary baseが増加して、インフレ予想が生まれると、デフレ予想の下では、取引に使われずに眠っていた貨幣(‥これを貨幣の遊休残高という‥)が外貨預金や株式購入に向かう様になる。これ等を購入する為に保有する貨幣を、貨幣の取引残高という。この様に、デフレ予想の下では、遊休残高であった貨幣が、インフレ予想が生まれると、まず貨幣以外の資産を購入する為に使われる様になる。これを貨幣の遊休残高から取引残高への転換という。この転換に拠り、貨幣はそれ迄よりも多くの取引を媒介する様になる。そこで、これを貨幣の取引流通速度が上昇するという。〔‥ここからは小生が概略を説明する‥〕
 外貨預金需要増加は円安を、株式需要増は株高を、其々齎し、これは企業に設備投資と輸出を促し、これが故に生産も消費も増加する。これ等の取引には貨幣が不可欠となり、遊休残高であった貨幣の流通速度が一層上昇する。この流れに拠り、銀行の貸出なしと貨幣の増加なきデフレ脱却が始まるのである。
◆名目成長率が上がれば、税収は大きく増える P.220
◆デフレでは財政再建はできない P.222

【小生comment】岩田氏は、この後、◆財政finance懸念に拠る悪い金利上昇を避けるには、◆経済と財政の再建を確実にするための国民へのmessage、◆人間万事試験の世の中、と題して述べている。興味ある方は是非本著をご一読下さい。経済に詳しくない人にも解りやすく書かれている良書だと思います。

【後記】お別れは、今拙宅の中庭に咲いている杏の花である。杏の花というと、小生、いつも晩唐の詩人杜牧の『清明』を思い出す。

[19]拙宅の杏花01
 1901_20130321

------------------------[20]同02
 2002_20130321

[21]拙宅の李花
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 今、時節は二十四節気でいう「春分」であるが、「春分」の次が『清明』である。小生、大好きな漢詩なので本《会報》でも何回かご紹介させて頂いている。
 今日も暫しお付き合い頂き乍らお別れします。実に絵画的な漢詩です‥

 ・小糠雨に煙る農村地帯‥牧童が指さす遥か彼方に薄紅色した杏の花が咲いている村が見える‥実に綺麗だ‥

   清明   杜牧(803-852)

 清明時節雨紛紛
 路上行人欲断魂
 借問酒家何處有
 牧童遙指杏花村

 清明の時節 雨紛紛
 路上の行人 魂(こん)を断たんと欲す
 借問す 酒家は何れの処にか有る
 牧童遥かに指さす 杏花(きょうか)村

【意】今、春の盛りの清明節に、折から小糠雨がしきりに降っている
 その雨は、道行く旅人である私の心をすっかり滅入らしてしまった
 「酒を売る店は何処にあるの?」
 私に尋ねられた牛飼いの子が遥か先を指さした
 その彼方には、薄紅色した杏(あんず)の花咲く村が見える‥

 ではまた‥(了)

2013年3月17日 (日)

【時習26回3-7の会 0437】~「03月11日:『穂の国とよはし芸術劇場PLAT』内覧会に参加して」「03月09日:国立西洋美術館『ラファエロ展』を見て」「高橋洋一『経済復活~金融政策の失敗から学ぶ~』を読んで」

■皆さんお元気ですか、今泉悟です。《会報》【0437】号をお届けします。
 03月も今日17日で半ばを過ぎました。
 毎日毎日が実に早いものです。
 今日は夕方17時から名豊ビル本館7階hallにて『第4回東三河の酒蔵を知る会』に参加しました。
 02月17日「蔵開き」に行って来た「伊勢屋商店」と、「福井酒造」が豊橋を代表する酒蔵2社。この他「関谷醸造」「日野屋商店」の2社を加えた東三河4酒蔵、それに岡崎の「柴田酒造場」と安城の「神杉酒造」の計6社の酒蔵が出品しました。
 次回の《会報》にて詳報をお伝えする予定です。お楽しみに‥

■さて今日は先ず、掲題・副題にあります様に、先週初03月11日に『穂の国とよはし芸術劇場PLAT』内覧会が催され、参加して来ましたのでご紹介致します。
 当劇場は、地元豊橋ではJR豊橋駅と渥美線・新豊橋駅の南にある為、通称「駅南(えきなん)hall」と呼んでいます。
 当劇場の開場は来月04月30日。当hallは、同じ建物の中に、main劇場の「主hall(定員MAX796人)」と小劇場「Art Space(定員266人)」の二つに分かれている。
 この日の内覧会は、駅前周辺の事業者向けのものであった為、小生の勤務先も参加したという次第である。
 この劇場の開場により、豊橋駅前が少しでも往時の賑わいを取り戻してくれることを小生願って止まない。

[00]穂の国とよはし芸術劇場PLAT「設計conceptと1-3F平面図」
 00platconcept13f

------------------------[00a]Plat座席表「主hall1-2F:639~796席」「Art Space:266席」
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[01]穂の国とよはし芸術劇場PLAT01 外観1
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------------------------[02]同 外観2
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[03]同 外観3
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------------------------[04]同 外観4
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[05]同 Art Space
 05plat05_art_space_2

------------------------[06]同 創造活動室A
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[07]同 1F入口付近の『交流square』
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------------------------[08]同 創造活動室G〔drumのある部屋〕
 08plat09_gdrum

[09]同 1F交流squareから2FHall Foyerへ昇る階段から外庭遠望
 09plat10_1fsquare2fhall_foyer

------------------------[10]同 2F研修室(大)
 10plat11_2f

[11]同 主hall:1F観客席最後部より舞台を望む
 11plat12_hall1f

------------------------[12]同 主hall:1F観客席中段より側面を望む
 12plat14_hall1f

[13]同 主hall:1F観客席最前列より2F観客席を望む
 13plat15_hall1f2f

------------------------[14]同 3FHall Foyerから豊橋駅遠望
 14plat16_3fhall_foyer

[15]同 主hall:2F観客席最後部より1F舞台遠望
 15plat17_hall2f1f

------------------------[16]同 2FHall Foyerから1F交流squareを望む
 16plat18_2fhall_foyer1fsquare

[17]同 2FHall Foyerから2FArt Space Foyerへの通路から豊橋駅方面の外庭遠望
 17plat19_2fhall_foyer2fart_space_fo

■さて続いては、前《会報》でお伝えした、03月09日に上京した際見て来た、東京の3つの美術館第2弾!‥国立西洋美術館『ラファエロ(Raffaello)』展の模様をお伝えします。
 本展については、駐日イタリア大使ドメニコ・ジョルジ氏のmessageを引用して趣旨説明に代えたい。

 この度、この格式高い国立西洋美術館で開催されるラファエロ展は、日本では初めての巨匠Raffaelloの展覧会であり、またRaffaelloの回顧展としては比類のないものです。〔中略〕後世の画家達に手本となり着想を与えた《大公の聖母》、〔中略〕ウフィツィ美術館に展示されている秀作《自画像》といった、至高の名作が、日本で初めて公開されます。
 Raffaelloは、日本で最も愛されているイタリア・Renaissanceの画家のひとりです。〔中略〕その作品は、森羅万象の際立った美を愛でる人に対し、「自然に宿る神々しさ」、「千変万化する外観の不滅の形」といった繊細で深い感動を縦横に与えるものです。そして、日本の様に、自然との共生を掘り下げて追求し表現する文化を湛えた国であれば、その様な感動は一層効果的に伝わると思います。〔後略〕

[18]国立西洋美術館前にて‥中嶋君‥
 18

------------------------[19]同上‥小生‥
 19

[20]Raffaello(1483-1520)『自画像』1506-06年
 20raffaello14831520150606

------------------------[21]同『若い男の肖像』1503-04年
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[22]同『大公の聖母』1505-06年
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 『大公の聖母』は、正確な時期は未だ判明していないが、恐らくは17~18世紀に、作品の背景が黒色に塗り込められたのである。その際に、背景に接する聖母マリアと幼児キリストの輪郭の一部が、黒色背景で塗り重ねられて仕舞った。これを補う為、部分的な加筆が行われたのである。黒色層の上に描かれたキリストの頭髪や、kompasを使って描かれた光輪などが、加筆部分に当たる。また黒地背景から採取されたsample分析の結果、下層に塗り込められたoriginalの絵画層の状態は悪く、塗り重ねられた黒地層を修復に拠って取り除くことは適切でないと判断された。〔バラティーナ美術館館長:アレッサンドロ・チェッキ〕

[23]同『聖家族と仔羊』1507年
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------------------------[24]同『エゼキエルの幻視』1510年頃
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[25]同『友人のいる自画像』1518-20年頃〔左側:Raffaello〕
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【小生comment】
 あの有名な《大公の聖母》の黒地背景が、後世、誰かが塗り重ねたものであるということを、小生、恥ずかし乍ら、今回初めて知った。そう言えば、Raffaelloの絵は、この《大公の聖母》を除くいずれの作品も、黒地で塗り重ねているものは一つもない。チェッキ氏が言う様に、original絵画の背景の品質がかなり劣化した為、後世の誰かが商品価値を下落させない様に黒地で塗り重ねたのだろう。
 毎回、絵画鑑賞すると、何か新しい発見をする。だから、絵画鑑賞は止められない。(^^
 今回、23点のRaffaelloの作品を見ることが出来、大変嬉しかった。
 これに加えて、より一層感動したのが、『ラファエロ』展と同時開催されていた、国立西洋美術館所蔵の「常設展」である。
 珠玉の傑作を次から次への見ることが出来た。その多くが有名な「松方collection」である。
 そこで今日は、今回展示されていた作品群の中から14点(‥ブーグローの作品を含め15点‥)をご紹介する。
 尚、museum shopで購入したpost cardを元にご紹介させて頂くが、最初の4点が、同shopで人気best4である。但し、第2位の「ブーグロー(Bouguereau)『少女(Little Girl)』」は、今回の展覧会には展示されていなかったが、あまりに可愛らしいのでご紹介させて頂いた。
 映画評論家の故・水野晴郎氏の言葉ではないが、『映画』を『名画』に変えて‥、「『名画』って、ホント、いいものですね」。(笑)

[26]Monet『睡蓮(Waler Lilies)』1916年 best1
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------------------------[27]Bouguereau『少女(Little Girl)』1878年
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[28]Gogh『Roses』1889年best3
 28goghroses1889best3

------------------------[29]Carlo Dolci(カルロ・ドルチ)『悲しみの聖母(Mater Dolorosa)』1655年頃best4
 29carlo_dolcimater_dolorosa1655best

[30]Pieter Bruggel(1525or30-1569)『鳥罠のある冬景色』
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------------------------[31]Cornelis de Heem(コルネリス・ド・ヘーム)『果物籠のある静物』
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[32]ナティエ(Jean-Marc Nattier)『Portrait of Madame Marie-Henriette Berthelot de Pleneuf』1739年
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------------------------[33]ブーダン(Boudin)『トルーヴィルの浜(Beach of Trouville)』1867年
 33boudinbeach_of_trouville1867

[34]Corot『ナポリの浜の思い出』1870-72年
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------------------------[35]Sisley『Landscape at Louveciennes(ルーヴシエンヌの風景)』1873年
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[36]Monet『陽を浴びるポプラ並木(Poplars in the Sun)』1891年
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------------------------[37]Signac『漁船(Fishing Boat)』
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[38]Monet『黄色いアイリス(Yellow Irieses)』1914-17年頃
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------------------------[39]Pierre Bonnard『花(Flowers)』1933年頃
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[40]Joan Miro『絵画(Painting)』1953年
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■さて続いては、今日最後の話題である。
 今日ご紹介するのは、《会報》【0434】号にてご紹介した浜田宏一氏が高く評価していた、嘉悦大学教授の高橋洋一氏についてである。
 高橋氏の著書『経済復活~金融政策の失敗から学ぶ~』である。
 今回は、本著の中から興味深い箇所を2~3ご紹介することとしたい。

[41]高橋洋一『経済復活~金融政策の失敗から学ぶ~』
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第一章/日本経済没落の20年‥狂乱bubble~その崩壊の失敗

□現在に至るまで続く赤字国債発行
◆税収が上がらないから赤字が増える
 〔前略〕日本のGDP(国内総生産)に対する「国の借金」の比率は214.1%(2012年06月現在)に達し、米国や欧州主要国の水準(80~120%)を大きく上回っている。よく言われる様に、日本が「世界一の借金国」であることは間違いない。
 だが、この数字だけを見て、日本の財政状況が米国や欧州主要国に比べて不健全で危険な状況にあるというのは正鵠(せいこく)を射ていない。日本は「世界一の借金国」であると同時に、実は資産の規模も世界一だからだ。P.56【注1】

 【注1】日本政府が保有する資産は、土地や建物の他、特殊法人や独立行政法人への貸付金及び出資金、現預金等で構成され、その額は約650兆円にも及ぶ。
 これ程多額の資産を保有している国は、世界中何処を探してもない。〔中略〕
 借金が1,000兆円あっても、約650兆円の資産を差し引けば、差額は350兆円だ。「国の借金」の対GDP比は2倍強であるが、350兆円なら0.6~0.7倍程度迄下がることになる。これなら世界的に見て低い数字ではないが、特出して高い訳でもない。
 勿論、土地や建物等の資産は直ぐには売却出来ないが、特殊法人や独立行政法人への貸付金及び出資金等、数年内に現金化が可能な資産だけでも300兆円以上に及んでいる。Default(債務不履行)危機に十分に持ち堪えられる筈だ。P.158-159

□失業率の悪化と貧富の二極化の原因は?
◆失業率を改善させるのは日銀の仕事
 〔前略〕失業率を改善させる為に唯一有効なのは、金融緩和政策である。
 序章でも述べた様に、雇用と物価との間には明確な逆相関関係が存在する。物価上昇率が上がる程失業率は下がり、逆に物価上昇率が下がる程失業率は上がる傾向にある。言い換えれば、金融緩和政策に拠って物価をインフレに誘導すれば、失業率を下げる効果が期待出来るのだ。
 つまり、日本の失業率が高止まりしている理由は、これ迄の日銀に拠る金融緩和が不十分で、デフレを抜け出せない状況が続いて来たからに他ならない。

 物価が上がると失業率が下がるという関係性は、New Zealandの経済学者、アルバン・ウィリアム・フィリップスが1958年に発見し、「フィリップス曲線」と呼ばれるグラフでその関係性を説明している。
 既に発見されてから50年以上経過した古典的な理論であり、欧米の経済学者や中央銀行の関係者にとって、物価と失業率の間に関係があることは常識中の常識だ。
 だからこそ、FRB(米連邦準備制度理事会)等欧米の中央銀行の多くは、金融政策に拠って、物価だけでなく雇用状況もcontrolする責任を負っている。
 FRBは2012年12月12日、失業率が6.5%を下回る迄、実質ゼロ金利を続けるという数値目標を決定しているが、こうした目標を掲げるのも、FRBが失業率に責任を負う立場にあることを自覚しているからだ。

【小生comment】
 高橋氏は、元大蔵省のcareer官僚で、我々と同じ1955年生まれ。大蔵(現・財務)省理財局資金企画室長、内閣参事官等を歴任。2007年、特別会計の埋蔵金を暴露して脚光を浴びる。
 経歴から解る様に、氏は元・大蔵官僚だけあって、国庫の内実にも精通している為、説明に説得力がある。
 氏は、「消費税増税も、景気浮揚が明確になってから実施しないと、橋本内閣時代の消費税増税による税収減という失策の二の舞になる」と警告する。
 更に氏は、「安倍総理の三本の矢、即ち、①大胆な金融緩和、②機動的な財政出動、③民間投資を喚起する成長戦略」のうち、①の金融緩和と、規制緩和だけで十分」と迄言っている。
 卑近な例だが、株価が上がるだけで、これ迄、塩漬けになっていた株式投資金が流動化し、自動車をはじめとする高額な耐久消費財等が売れる様になり、景気回復に一層の弾みがつくことは間違いない。
 こうなると、やはり黒田日銀新総裁に拠る大胆な金融緩和を是非力強く推進し、景気回復を確かなものにして欲しいものである。

 ではまた‥(了)

2013年3月10日 (日)

【時習26回3-7の会 0436】~「日下公人&渡邉哲也 対談集『新聞の経済記事は読むな、バカになる』を読んで」「03月09日:東京都美術館『エル・グレコ』展を見て」

■皆さんお元気ですか、今泉悟です。
 三月も今日10日で三分の一が経とうとしています。
 昨日迄の三日間は暖かい春の陽気でしたが、今日はうって変わって地元豊橋は薄ら寒く一日で、一時(いっとき)雨も降りました。
 春先は正に「三寒四温」。寒い日と温かい日が三四日ずつ交互に繰り返されるので、油断すると風邪をひいて仕舞います。
 乾燥している為、influenzaも流行し易い状況と言えます。皆さんも精々ご自愛下さい。
 さて、今日も《会報》【0436】号をお届けします。

 前《会報》でお話した【2637の会 0234~0433】のブログ200件が消えて仕舞った事件についてnifty customer centerから説明の電話がありました。
 System 上のtroubleが発生して、小生のブログだけでなく他にも同様のtroubleが発生したとのことでした。
 勿論、前《会報》でお話しました様に03月01日に全てが原状回復しています。

■今日は先ず、掲題・副題にあります様に、前《会報》でもご紹介した渡邉哲也氏が、日下公人氏と対談した『新聞の経済記事は読むな、バカになる』をご紹介します。

[00]日下公人&渡邉哲也対談集『新聞の経済記事は読むな、バカになる』
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 この本の刺激的な(笑(^^;)題名は、渡邉氏が幼い頃祖父から聞いた言葉だという。
 即ち、新聞の情報は結果しか書かれていない為、掲載される時点で既に陳腐化して仕舞っている。だから情報としての価値がない為新聞の情報で投資しても儲からない訳である。「新聞記事を真に受けるとバカを見る」ということである。

 渡邉氏は本書の主題を「統治者から見た経済」であると述べている。
 世界経済は、「統治者が『仕組み』をつくり、多くの人々が知らずしてその『仕組み』に組み込まれている」。
 だからその『仕組み』を理解し、知恵を絞ってその『仕組み』を上手く利用すれば、個人が社会で、延いては、日本が世界経済の中で有利に物事を進められるという。
 今の世界経済の『仕組み』を造り上げたのは所謂先進国と呼ばれている欧米諸国である。彼等が自分達に都合の良い〔‥勝負すれば彼等が常勝する‥〕ruleをつくりそれを他者〔=日本を含む弱者、新興国〕に押し付けて来たのである。
 欧米先進国は植民地支配時代からずっと「働かずに儲かる『仕組み』」を創り出して植民地から資源や食糧を搾取して来た。
 欧米先進国が産業革命で工業立国化すると、植民地は当該先進国工業の資源・原材料の供給地となった。
 旧植民地が独立して新興国となった現代でも基本的に先進国が儲かる『仕組み』自体は変わっていないのである。
 即ち、先進諸国は金融で儲ける『仕組み』を考え出し、新興国に安価に物をつくらせてそれを先進国が消費する形で成長して来た。
 このschemeがLehman Shockで崩壊したのである。
 それでは、今回もindexに従って本著の概要をご紹介することとする。
 小生の文章を纏める力が稚拙な為、今回は以下の概略が羅列しただけの様になって仕舞ったことをご容赦頂きたい。

第一章/Euro危機で解る世界経済の実相
◎逃げられない貧乏な国民が国家の借金を背負わされる
【渡邉】ギリシャの富裕層は常に安全な他のEuro圏の銀行に口座をつくっていて、必要な金額を引き出せる仕組みになっているのです。
【日下】お金持ちがお金を持って出て仕舞ったから、ギリシャには尚更お金がない訳だ。
【渡邉】国の借金も、外に逃げられない貧乏な国民が払うことになります。[p.58]

◎Europeで行われている対外資産1,000兆円の奪い合い
【渡邉】今回、Spainに欧州中央銀行(ECB)から巨額の資金を投入することになりましたが〔中略〕〔‥ECBを牛耳る‥〕ドイツに至ってはSpainに「提供した資金は銀行の整理統合以外には使ってはならない」と明確に主張。〔中略〕「整理統合とは〔‥Spainの銀行が保有する中核資産を‥〕バラバラにして食わしてくれ」という意味です。[p.73]

◎金融ではドイツのメルケル首相の顔でも立派に担保になる
【渡邉】今の処、何故ドイツがEuroから出ないかと言えば、ドイツには有力な製造業が多く残っているので、ドイツがEuroを出るとドイツマルクが急騰して仕舞うからです。マルク高ではドイツの製造業の競争力はなくなって仕舞います。逆に言えば、今はEuro安に拠ってドイツだけが儲けているのです。[p.75]

◎Asiaを搾取する夢から覚めたEuroが崩壊していく
【日下】Europe人は今迄300年間、Asiaを搾取して楽をして来ました。その夢は覚めて仕舞ったと自覚しなければなりません。[p.97]

第二章/古い経済学の時代は終わった
◎貨幣循環の中で幸せを懸命に探しても幸せは見付からない
【渡邉】「安い」「早い」「うまい」ばかりを追いかけていたら、効率化とか極度の競争ばかりになって仕舞って、其処には最終的な幸せはないということですね。効率化や極度の競争はやればやる程縮小再生産になって行きます。
 お金だけだなく、経済全体の中で縮小再生産が起きて仕舞い、それが負の効果となって、早晩、経済全体が限界を迎えることになって仕舞うでしょう。[p.113]

第三章/日本の金融と役所の規制
◎BIS規制での時価評価が日本の銀行の破綻原因となった~戦前の鈴木商店を教訓にして出来たのが長期信用銀行
【渡邉】今のEuropaの国々がダメになって仕舞ったのは重工業のinfrastructureを殆ど売り払って仕舞ったからです。唯一重工業のinfrastructureを持っているのはドイツだけですが、だからこそドイツは今や勝ち組になっています。やはり物をつくれる体制は国内で維持しておかなくてはなりません。その為の投資の国内循環をどうやって良くするかを考え続けないと、日本も先進国だと言って誇っていられない時代が来て仕舞います。[p.159]

◎間違ったglobalismを正す処から始めるべきだ
【渡邉】Globalismで混乱して仕舞った典型が、日本だとSONYではないでしょうか。製造部分は国内では殆ど捨てて仕舞い、海外で部品を組み立て製品をつくろうとしています。だから、むしろ今やSONYも単なる金融屋になって仕舞ったと考えた方が良いかもしれません。GE(General Electric)等も同じで、物をつくることが出来ないのであれば銀行と一緒です。それなら製造業を名乗るべきではありません。[p.163]

◎国が邪魔な時代には国同士が協議するTPPも良くない
【渡邉】TPPでは協定の内容が平等でないので、米国が日本に対して参加を求めるというのは「不平等条約を結べ」と言っているのと同じです。[p.165]

第四章/公共事業で地域は復活するのか?
◎日本の様に住みよい国は世界では珍しいと自覚せよ
【日下】1945年のPotsdam宣言は国体護持を条件とした受諾であって、決して無条件降伏した訳ではありません。Potsdam宣言では、日本の主権は連合国最高司令部の制限下に置かれる(Subject to)」と書いてありました。これは、暫くの間は占領軍の下に付くというだけのことです。
【渡邉】無条件降伏というのは、それを聞く限り完全な言葉による洗脳ですね。[p.207]

終章/【渡邉哲也】:経済学に求められる「人生の知恵」
◎世界のplantation構造
◆現在の世界経済危機問題の本質は、世界的な金融bubbleの崩壊であり、金融主導型社会の終焉とも言える。ここ数十年、世界は金融中心に回って来た。米国を中心とした多くの先進国は、物の生産を一部放棄し、物の消費に拠り成立する経済構造をつくって来た訳である。
 そして、その物の生産を請け負ったのが新興国であり、先進国は新興国に投資し、物をつくらせ、その投資利益で物を買うという構造〔‥『仕組み』‥〕をつくった訳である。これを可能にしたのがglobal金融であり、現在の世界的な危機の本質そのものと言える。
 これ迄も欧米の先進国は同様の構造を利用し、自ら働くことなく多大な利益を得て来た。これが所謂植民地支配であり、植民地からの搾取構造ということになる。農業plantationが金融に拠る工業plantationに形を変えただけのことである。[p.219]

◎Ruleをつくった者が勝つ
◆物事というのは『仕組み』と『rule』をつくった者が勝利者となる。何故なら、自らつくったruleではなかなか負けないからである。自分達が勝てるruleをつくり、それを押し付けることで利益を得る。これをゴリ押しするのが政治であり、支配構造であるとも言える。これ迄、戦後の日本は〔戦勝国である欧米先進国の〕ruleに従い乍ら、戦って来た。敗戦国の悲しみではあるが、そろそろ、これを脱却すべき時が来ているのだと思う。
 日本のbubble崩壊後の銀行のBIS規制がその典型の一つである。日本は欧米先進国がつくったBIS規制に従わさせられて来た。その欧米の金融機関が現在BIS規制を満たすことが出来ず、未だに施行される目処が立っていないのである。都合に合わせて欧米はruleを変える。これが世界の現実なのである。[p.220-222]

◎ハゲタカやハイエナは死肉しかたからない
◆日本に於いても、大手家電makerが世界のハゲタカ達の餌食になる直前であったと言えよう。しかし、政権交代が行われ、日本の姿勢が大きく変わったことで、彼等の多くは戦いから撤退せざるを得なくなった。その結果、株式等が買い戻され、それが急激な株価の改善を呼び込んでいるのである。〔中略〕強い政府が国民や国家を守るのである。[p.230]

【小生comment】
 以上の後も「経済戦争[p.233]」「先進国V.S.新興国[p.235]」「保護主義化する世界[p.236]」「日本の経済構造[p.238]」で渡辺氏は、示唆に富む卓見を述べてくれている。
 最後の「日本の経済構造」の処で渡辺氏は「日本の外需はGDPの1割しかない『内需依存国家』なのである。が、日本は資源の多くを海外に依存している為、当該輸入代金分は加工貿易で稼ぎ続ける必要がある訳だ。今は十分な外貨準備と対外純資産があるので良いが、赤字を垂れ流し続けることは、国の信用を毀損する理由になる。この様に考えると、『内需を最大限に守り乍ら、外需を拡大していく』というのが正解となり‥〔中略〕‥外国を日本のsystemに依存する国にして仕舞えば良い‥〔中略〕‥ODAや政府援助を通じて、日本製のsystemや基礎部品、基礎材料等がなければ動かない経済systemを構築すれば良い訳である。文化とsystemの輸出、これこそが政府と企業が一体でなくては出来ないものであり、私〔渡邉〕はこれが日本経済復活の鍵となるものと信じている」と締め括っている。
 本著は内容が多岐に亘り、そして夫々がとても面白かった。もう少しご紹介したかったのであるが、volumeが嵩んで仕舞うのでかなり端折らざるを得なかった。ご容赦下さい。
 
■さて続いては、今日最後の話題である。
 昨日03月09日、日帰りで中嶋Y行君【3-2】と東京迄driveした。
 谷山K君【3-3】等を加えた城跡・史跡巡りの旅の時はいつも中嶋君の車で行くのであるが今回は違う。
 小生が中嶋君を東京の3美術館訪問の日帰りdriveに誘ったのだ。だから昨日の車と運転は小生が担当した。
 訪れた美術館は訪問順に以下の3館。
 ・東京都美術館『エル・グレコ』展
 ・国立西洋美術館『ラファエロ』展
 ・東京国立近代美術館『フランシスコ・ベーコン』展

 内容がfruitfulなので、今日は先ず東京都美術館の『エル・グレコ』展をご紹介したい。
 09日は早朝05時過ぎに拙宅を出発し05時半に中嶋君を彼の自宅迄迎えに行きpickup。
 06時前に東名・豊川ICに乗り、引佐JCTを経由して新東名を東進。
 御殿場JCTから再び東名に戻り、首都高・代官町で降り、09時半過ぎに東京国立近代美術館に程近い北の丸公園第一駐車場に到着。

[01]北の丸公園第一駐車場
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------------------------[02]皇居お堀傍にある地下鉄東西線竹橋駅出入口1a
 021a

 其処から徒歩2~3分で地下鉄東西線竹橋駅へ。
 添付写真[02]にある様に丁度皇居のお掘りでは何処かの駅伝raceが行われていた。
 この日は大変暖かな本当に良い天気であった。
 我々二人は、日本橋駅で地下鉄銀座線に乗り換え上野駅に丁度10時に到着。
 そこから上野公園口を徒歩にて国立西洋美術館を右手に見乍ら北進すること5分、最初の訪問先の東京都美術館に到着した。

[03]東京都美術館前にて‥中嶋君‥
 03

------------------------[04]東京都美術館前にて‥小生‥
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 先ず、エル・グレコの略歴から‥
【略歴】
1541年 エル・グレコは、当時Veneziaの支配下にあったクレタ島に生まれた
1567年 Veneziaに渡りティツィアーノの工房かその周辺で西欧絵画の技法を習得
1576年 おそらくこの頃Spainに渡る
1577年 トレド大聖堂から注文作『聖衣剥奪』の為の支払いを受ける‥トレドを活動の拠点とする‥
1614年 04月07日逝去〔享年73歳〕

 エル・グレコは16世紀後半から17世紀はじめにかけSpainの主にトレドで活躍したギリシャ人である。
 彼は『無原罪のお宿り』に代表される様に宗教画家として特に有名だが、添付写真の絵をご覧頂ければ解る様に肖像画家としても当時から人気を博していた。
 『無原罪の‥』をご覧頂くと感じられると思うが、この絵は大胆な縦長の構図となっており、聖母マリアの曲がりくねった長い身体、極端な角度で描かれた天使の翼‥。
 この絵を見上げて観る者に、dynamicに絵全体が動いている様な強い印象を与える。
 因みに『無原罪のお宿り』とは、「聖母マリアは彼女の母アンナの母胎に宿る時から、アダムの『原罪』を免れて生まれて来た」というカトリックの教義のこと。
 以下、今回の展示作品の幾つかをご紹介したい。

[05]El Greco『自画像』1595年
 05el_grecoselfportrait1595

------------------------[06]同『白貂の毛皮を纏う貴婦人』1577-90頃
 06el_grecoa_lady_in_a_fur_wrap15779

[07]同『ある若い騎士の肖像』1600年頃
 07el_grecoportrait_of_a_young_knigh

------------------------[08]同『聖パウロ』1607年頃
 08el_grecosaint_paul1607

[09]同『聖母の前に現れるキリスト』1585年頃
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------------------------[10]同『聖アンナのいる聖家族』1590-95年頃
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[11]同『同上の部分』1590-95年頃
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------------------------[12]同『受胎告知』1576年頃
 12el_grecoannunciation1576

[13]同『聖マルティヌスと乞食』1599年頃
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------------------------[14]同『福音書記者聖ヨハネのいる無原罪のお宿り(The Immaculate Conception with Saint John the Evangelist )
 14el_grecothe_immaculate_conception

[15]同『無原罪のお宿り(The Immaculate Conception)』1607-13年
 15el_grecothe_immaculate_conception

 尚、国立西洋美術館『ラファエロ』展と、東京国立近代美術館『フランシスコ・ベーコン』展の模様は次号以降の《会報》をお楽しみに!

【後記】私事で恐縮ですが、小生の愚息次男が07日大学の合格発表があり何とか合格出来ました。
 愚息は時習館高校を昨年卒業して一浪中の身。小生とは違い理系を選択、機械工学科に進学することになりました。
 田中君と中山君の大学の後輩になります。

 だが、目出度いことはそうは続かない‥。
 実は、昨日東京から帰る途上、新東名高速道路の静岡市内で覆面patrol carにspeed違反で捕まって仕舞った。
 制限速度100km/hの処、22km超過であった。
 これ迄3回更新していた「Gold免許」とも次回はお別れとなった訳である。
 これからはspeed違反をしない様に十分慎重に運転して行きますです。ハイ!

 ではまた‥(了)

2013年3月 3日 (日)

【時習26回3-7の会 0435】~「渡邉哲也著『これからすごいことになる日本経済』を読んで」「02月20日:松坂屋美術館『加賀赤絵展』を見て」

■皆さんお元気ですか、今泉悟です。
 2013年も彌生、三月になりました。
 そして今日が桃の節句、明後日05日が二十四節気でいう『啓蟄』です。
 いよいよ「Spring has come.」が胎動する頃ですね。
 さぁ、今日も《会報》【0435】号をお送りします。

 前《会報》でお話した小生にとっての「大きな事件」が解決しました。
 消えて仕舞っていた、本《会報》直近の200本のblog【0234】~【0433】が照会したnifty customer centerさんのご尽力により一昨日03月01日に全てが現状回復しました!
 同centerに電話で確認した処、「原状回復しましたが、200件が消えて仕舞ったか理由がまだ解らない為現在も調査中」ということであった。
 何はともあれ、2009年04月から約4年間の消えて仕舞っていた記録現状回復したことは「良かった!」。

■さて、今日は先ず、掲題・副題にあります様に、「渡邉哲也著『これからすごいことになる日本経済』を読んで」をお届けします。
 前《会報》でご案内した安倍晋三首相が提唱する所謂『アベノミクス』の理論的『後ろ盾』となっているリフレ派の代表の一人とされる浜田宏一氏の著作「アメリカは日本経済の復活を知っている」をご紹介させて頂きましたが、今回はその延長上にある話とご理解頂ければ幸甚です。

 小生、渡邉哲也氏の著書を初めて読ませて貰った。渡邉氏はよく勉強していると思う。1969年生まれなので我々より14歳若い43歳だが、色々と啓発させて頂いた。
 先ず、本書の概要をindexに従い、その概要をご紹介したい。

[00]渡邉哲也『これからすごいことになる日本経済』
 00

序章/「アベノミクス」で日本は激変する
 ◎日本の財政破綻は有り得ない[p.20]
 ◆国債を償還する財源確保の為には、税率を上げるか、経済の母体を大きくする(=つまりGDPを増やす)ことの二通りしかない。そして後者こそが、アベノミクスがやろうとしていることだ。景気が良くなれば、企業業績が上がり、それに拠って法人税の税収が増える。個人の所得税も増える。しかも、日本の財政にとっても最も負担の大きい社会保障費も、景気が良くなれば失業者が減り、失業保険や生活保護といった社会保障が軽減されることなる。

第一章/新たな恐慌に向かう世界
 ◎Europaの危機は終わらない
 ◆Europaの状況が悪化すると、今度はそのEuropaが世界中に投資したお金を引き上げることになる。そうすると、Europa以外のbubbleも崩壊していくという連鎖が引き起こされるのだ。[p.47]
 ◎金融による植民地支配という構造変化[p.57]
 ◆新興国には資本がないので、〔【小生注】先進国から〕お金を借りて来なくてはならない。そこで、〔【同】先進国は〕高金利でお金を貸してその金利で儲けて、更に配当で設けるということをする様になった。つまり、これは二重に金儲けが出来る構造になっているのだ。
 そうなると、新興国側はどんなに低賃金でいい物をつくろうと、その利益の殆どは先進国に吸い取られていき、国内には利益は残らないという構図になる。
 これは、金融に拠る植民地支配構造の実態なのだ。
 ◎Europaの金融危機が終わらない理由
 ◆何故、同じEuropaの中でこれ程迄に救済が進まないのかと、疑問に思っている人も多いだろうが、要するに、何処か弱体化する国があれば、その国が持っている対外資産や利権の値下がりを待って買い漁(あさ)ろうと各国が虎視眈々と狙っているのである。[p.62]
 簡単に言えば、ドイツはSpainの持っている大量の対外資産を出来るだけ安く買い叩いて自分のものにしたいと思っている為、Spainの経済状況が更に悪化して、資産を投げ売りしなくてはならない状況を待っているのである。だから、救済や整理が進まないし、救済が進まない方が都合のいい人達も多いのである。
 ◎いまSpain崩壊を狙うハゲタカたち[p.65]
 ◆今はSpainの崩壊をに狙ってドイツやFrance、米国といった国が「ハゲタカ化」しようとしている。
 これは「金融の罠」とでも言えばいいのかもしれないが、いくらお金を刷っても、そのお金は危ない処には流れて行かず、安全な処に向かうだけだ。だから、お金を刷って市場に入れるだけでは、決して危機というのは良くなることはない。
 逆に言うと、刷れば刷る程安全とされる処にお金は集まっていくので、運用資産が増える。そうすると、買収資金が出来て仕舞うということにもなる。これは、金融を総て自由化するという新自由主義の弊害と言えるのだが、規制をなくせばなくす程、流動性が高まって動きが急激になるのだ。
 その結果、豊かな処はどんどん豊かになり、貧しい処は益々貧しくなるという風に、バラつきが出て仕舞う。〔中略〕
 日本には何かというと直ぐに「これからはglobal standardだ」と言って、日本独自の護送船団方式を批判する人も多いが、global standardというのは弱肉強食が基本原則だ。その弱肉強食の中で、日本の強い部分を総て排除して、謂わば武器を捨てて「丸裸で戦おう」と言っていたのが、日本のglobalism主義者達なのである。[P.67]

第二章/暴かれ始めた世界金融のインチキ
 ◎格付けの嘘と矛盾〔【同】‥通貨危機が起きる一連の流れ‥〕
 ◆外貨建ての借入の依存度が高くなると、いくら自国通貨を刷っても間に合わなくなる。その上刷れば刷る程量がダブついていき自国通貨の価値が下落していく。その一方で、他の国の通貨は高くなっていくという悪循環になり、もはや外貨に交換出来なくなった処で、外貨shortに拠るdefaultになる。
 因みに、日本も外貨建ての国債を発行しているが、僅か40億円位である。しかし、発行しているから格付けされて仕舞うのだが、これはさっさと償還して仕舞えばいい。日本には外貨準備高が100兆円以上あり、米国債だけで1兆1千億ドル以上の保有がある。ないものは〔【同】格付け〕評価出来なくなるので、〔【同】僅か40億円相当の外貨建て日本国債を〕返した時点で〔【同】ムーディーズやS&P社等の格付け会社は日本国債の格付けについて〕何も言えなくなるだろう。[p.92]

第三章/中国・韓国の経済崩壊が始まった
 ◎外資に吸い付くされる韓国の経済二重構造
 韓国では7大mega bankと言われる巨大銀行のうち6つが外資比率50%を超え、外国資本に支配されている(2005年現在外資比率は、国民銀行86%、ウリィ銀行11%、ハナ銀行72%、新韓銀行57%、韓国外換銀行74%、韓美銀行99.9%、第一銀行100%)。そして、国内の10大財閥がGDPの76.5%を稼ぐという「財閥帝国」とも言える異常な構造になっているのだ。
 その上、選択と集中が進んだ結果、市場は特定の企業に拠る独占体制になっている。例えば、液晶で言えばサムスンやLG、自動車なら現代自動車といった様に、一業種につき1社か2社の企業名しか挙がらないのが現状である。
 その少数の企業がほぼ総てのmarket shareを握っている為、国内では高い価格で販売している。だからbusiness modelとしては国内で高く売ることで利益を出して、海外にはdumpingで大量に売ることでshareを取っているという構造になる。[p.152]
 ◎ Globalismは終わらざるをえない
 ◆世界の富が決まっている以上、パイが大きくならない限り、新興国の取り分が増えれば先進国の取り分は減る。そういう現状に於いて、一人当たりの取り分を均等化するには社会主義にならざるを得ない、という理屈になる。[p.165]

第五章/こらからの日本経済に何が起こるか
 ◎ Makerよりも強くなって仕舞った流通業界[p.201]
 ◆〔【同】ヤマダ電機を筆頭とする〕家電量販店の力が強くなり過ぎたことに拠って、町の小さな電気屋さんが潰れるだけでなく、製造側にも大きなdamageを与えているという訳で、電機makerの業績悪化の最大の原因は家電量販店の寡占化である。〔中略〕問題は、寡占化して力を持った家電量販店が、makerに過酷な競争を強いていることである。
 ◎国が企業支援しなくなった日本[p.213]
 ◆日本経済の惨状は、これ迄の政治的な無策が総ての原因だろう。〔中略〕
 海外向けに限って言えば、政官財が一体となってbusinessをすることの何が悪いのだろうか。日本の国益となり、日本人の雇用にも繋がることになり、利益は国民一人ひとりに社会保障等の形で還元されることになる。それを否定するというのは、全く以ておかしな話だと言えるだろう。
 ◎今こそ「護送船団方式」の復活が必要[p.246]
 ◆トヨタを中心とする企業体が東日本大震災で経営危機に陥ったルネサス・エレクトロニクスに出資するといった話があるが、そういう形で日本の技術を守ると同時に失業者を生み出さない努力をすることが重要である。
 日本人の技術や資産を有効活用することこそが大切な問題であり、日本人の年金を守り、社会保障費を増やさない為の努力でもある訳だ。社会保障費が増えなければ税金を増やす必要がないので、増税から身を守る手段にもなる。〔中略〕
 日本は嘗て「日本株式会社」や「護送船団方式」と呼ばれる方法でそれをやっていたにも拘らず、海外から批判され、Globalist達に誤った認識を植え付けられて仕舞ったという経緯がある。そして、日本人自身がそれを本当に悪い事の様に思って仕舞っているのだが、それこそが最大の間違いなのである。

【小生comment】
 「アベノミクス」が提唱する「脱デフレ」と「インフレtarget 2%」は正しい選択だと小生は思う。
 「日本は財政破綻をしない」「適正なインフレにより財政破綻は回避出来るし、国民の賃金もup出来る」。
 従前からの繰り返しになるが、デフレ下では売価を上げられないので、資源価格と燃料費等経費が上昇する中では労務費〔=工場で働く人達の賃金〕を下げざるを得ない。
 資源価格と経費上昇が避けられない経済情勢の下では、新たなる高付加価値をつけることが困難である場合、インフレに拠ってしか労務費≒賃金を上げることが出来ないのである。
 日本経済が再生するには、「適正なインフレが不可欠である」ということを、本著と最近読んだ「三橋貴明『2013年/大転換する世界=逆襲する日本=』「浜田宏一『アメリカは日本経済の復活を知っている』」の2冊の本は明確に教えてくれている。
 安倍新政権の適正な諸施策に大いに期待したい。その為には「我々国民も、成果が出て来る迄の暫くの間はじっと見守っていく」という辛抱も肝心である。
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■さて続いては、去る02月20日、名古屋出張の折、立ち寄った松坂屋美術館にて開催中であった『加賀赤絵展』を見て来ましたのでその模様について簡単にお伝えします。
 小生、正直いって、陶磁器は殆ど門外漢である。
 「赤絵」とは、これ迄一般的に色絵陶磁全般を指していた。万暦赤絵、南京赤絵、呉須赤絵等、主に中国色絵陶磁の和名としてよく使われていた。
 「九谷焼」は江戸前期の古九谷窯を嚆矢とするが、一度衰微する。
 そして、19世紀に入ると、「飯田屋」「八郎手」と呼ぶ上絵付け様式〔=『赤絵細描九谷』〕が確立し復興した。
 更に、明治時代に入ると「ジャパン・クタニ」として欧米にその名を轟かせる程の一世を風靡した。
 今日は、その作品群の一部をご紹介したいと思います。

[01]『万暦赤絵』明代
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-------------------------[02]赤絵金彩『松図瓢形大瓶』宮本屋窯(1832-59年)
 02183259

[03]色絵金彩『花卉(かき)文水注』宮本屋窯(1832-59年)
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-------------------------[04]色絵金彩『花鳥図茶壺』沢田南久(1845-1922)
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[05]綿野吉二商店 色絵金彩『花鳥図花瓶』
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-------------------------[06]松雲堂 色絵金彩『錬鼓香炉』
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[07]小野窯 色絵金彩『花鳥図輪花皿』
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【後記】今日は結びに、昨日名古屋の布池教会にて開催された愚娘の結婚式と披露宴でのsnap-shotsを二枚ご紹介してお別れします。
 愚娘が従前より「銀行員とだけは結婚したくない」と言っていたのであるが、皮肉なことに婿殿は某信託銀行員である。(^^;
 因みに、現在は婿殿の勤務の関係で大阪住まいしている。

[08]愚娘&婿殿 at 布池教会
 08_at

------------------------[09]結婚披露宴での愚娘と婿殿
 09

 ではまた‥(了)

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