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2014年9月15日 (月)

【時習26回3-7の会 0516】~「Joseph E. Stiglitz著『世界の99%を貧困にする経済(The Price of Inequality)‥なぜ繁栄の分け前は1%の最上層によって独占されるのか?』を読んで」「09月06日:徳川美術館『天下統一‥信長から家康へ‥』展を見て」「同左:古川美術館『芸術寸法-床の間芸術から会場芸術への展開』展を見て」

■皆さん、今泉悟です。今秋最初の三連休でしたが、皆さんは何方かへお出かけになりましたか?
 三連休は、休みを家庭の頼まれ事〔≒義務〕と、自分の好きなこと〔≒権利〕の両方を行えるのでいいですね。
 拙宅では、以前からずっと気になっていた庭木「ラカンマキ」と「百日紅(サルスベリ)」の剪定を行いました。
 趣味では、一昨日はgolf、昨日は、浜松市美術館で開催中の『デ・キリコ』展。
 そして今日は、午後から豊橋美術博物館『星野眞吾賞』展を見て来ました。
 又、この《会報》にupする為のStiglitz著『世界の99%を貧困にする経済(The Price of Inequality)全415頁』の残り(300頁程)を読みました。
 これで、三日間が終わって仕舞いました。

■さて、今日最初の話題は、いまお話したJoseph E. Stiglitz著『世界の99%を貧困にする経済(The Price of Inequality)‥なぜ繁栄の分け前は1%の最上層によって独占されるのか?』についてである。
 本文415頁は、結構読み応えがあった。
 まずIndexをお示しする。
 本書は、次の様になっている。

◎ 日本の読者へ/日本人は繁栄を幅広く共有出来たのか
 不平等はglobalな問題である。富裕国と貧困国とを問わず、地球上全ての大陸に蔓延している。
 上流階層に於ける過剰な富の蓄積、中流階層の空洞化、下流階層に於ける貧困の増加等、不平等には様々な側面がある。
 本書の論題の一つは、この様な不平等による高い代償を社会が払わされているという点だ。
 即ち、経済実績の低下や、民主主義の弱体化や、法の支配を初めとする根源的価値観の毀損である。〔中略〕
 日本にとって、米国の経験は重大な警告となるだろう。
 日本は経済成長が停滞する中でさえ、米国の様な行き過ぎた状態をどうにか回避して来た。
 近年のdataを見ると、例えば米国の中流階層では、2008年から2010年迄の間に、〔【小生補足】‥所謂Lehman Shockに拠り‥〕富の40%が消えてなくなって仕舞った。
 平均的な米国人の20年分の貯蓄が一瞬にして失われた計算だ。
 そして、2010年に景気が反転した時、国民所得の増加分の93%は、所得上位1%の人々の懐に転がり込んだのである。〔中略〕
 米国の社会保証制度は先進諸国では最低の部類に入るが、税収が減るつれ、ただでさえ不十分な制度にほころびが出初めており、平均的な市民の福祉を左右する公共serviceは、大幅な歳出cutを余儀なくされた。
 要するに、経済の落ち込みは当然の帰結として貧困の悪化を招くのである。
 米国にはもう一つ悪循環が存在する。
 高水準の不平等が経済を弱体化させ、弱い経済が更に不平等を悪化させるという流れだ。
 例えば高い失業率は、賃金に対する下落圧力となり、中流階層にdamageを与える。〔中略〕
 高水準の不平等は総需要を低下させ、現在米国を含む多くの国では、需要不足が経済成長の足枷となっている。〔中略〕
 本書は日本の読者にも、重要な警告と教訓を提供していく。
 米国より平等かつ公正な経済と社会をつくり上げて来た、という過去の成功が今後も続くものと当然視してはいけない。
 日本人は平等性を高めることに留意しつつ、不平等が経済と政治に及ぼす影響を警戒する必要がある。
 政府債務と高齢化の問題は、米国より日本の方が深刻であり、日本の経済成長率は米国より低い。
 だから、日本政府は最後の手段として、公共財への投資削減や社会保障制度の縮小に傾くかもしれない。
 しかし、その様な政策は、根源的な価値観と将来の経済展望を危機に晒す懸念があることを、決して忘れてはならない。〔中略〕
 米国にとっても、日本にとっても、問題なのは経済よりも政治である。
 日本は最上層に拠る権益の誘導を阻み、独占的な私利の追求に拠って経済全体が傷つくことを回避出来るであろうか。
 日本は21世紀に相応しい社会契約を築き上げ、成長の恩恵が公平に分配されることを担保出来るのだろうか?
 これ等の質問の答えは、日本社会と日本経済の未来を大きく左右する筈だ。(P.12)

序/困窮から抜け出せないsystem」
第一章/1%の上位が99%の下位から富を吸い上げる
第二章/Rent Seeking経済と不平等な社会のつくり方
第三章/政治と私欲が歪めた市場
第四章/米国経済は長期低迷する
第五章/危機に晒される民主主義
第六章/大衆の認識はどの様に操作されるか
第七章/お金を払える人々の為の"正義"
第八章/緊縮財政という名の神話
第九章/上位1%に拠る上位1%の為のmacro経済政策と中央銀行
第十章/歪みのない世界への指針

[01]Joseph E. Stiglitz著『世界の99%を貧困にする経済(The Price of Inequality)‥なぜ繁栄の分け前は1%の最上層によって独占されるのか?』
 01joseph_e_stiglitz99the_price_of_i

【小生comment】
 本書で、著者stiglitzが述べていることは、端的に言えば以下に集約されよう。

 経済的に成功した最上位階層は、既得権益を守る為、「『努力』と引換に賃金を得る『労働者』」とは好対照に、『レント(Rent)』と呼ばれる「独占状態を管理することで得る『収益』」の極大化を是迄永々と積み重ねて来た。
 その結果、現在の米国では、富の格差が尋常でない程に拡大して仕舞っている。
 実際の処、最上位階層の所得の大半は、『勤労』からではなく、『Rent』から生じている。
『Rent』は、中下層から上層へ金を移動させ、一部の人々が有利に、残りの人々が不利になるよう市場を歪めて来た。(P.385)
 以上から、米国経済再生に向けStiglitzは「経済改革の7つの基本方針」を提言している。〔P.287-93〕

 ①金融部門の抑制
 ②競争法とその取締りの強化
 ③企業統治の改善‥特に制限すべきは、CEOが莫大な社内資源を私的に流用する能力‥
 ④破産法の包括的改革‥債務者の不利の軽減‥
 ⑤政府の無償供与の打ち切り
 ⑥企業助成の打切り‥隠れた補助金を含む‥
 ⑦法制度の改革‥司法への門戸開放‥

 蓋し、米国の上記改革はまず困難であると思料する。
 何となれば、最上位階層の「金権力に拠る政治家支配」に拠り、米国の政治制度が最上位階層に極めて有利に、換言すれば、中堅階層が対象となる民主主義の根幹がかなりの深部迄歪めているからである。
 民主主義は、簡単に言えば「健全かつ大多数を占める『中堅層』が、より良い政治・経済・社会を合議に拠り決定していく仕組み」である筈である。
 ところが、現在の米国は、「健全な『中堅層』の大多数が没落」して、富が1%の最上位階層へ集中して仕舞っているのである。
 その最上位階層は、「金権力で政治家を動か」し、最上位階層に有利な所得減税や資産減税を実現して来たのである。
 歴史的には、レーガン大統領時代のレーガノミックス(Reaganomics)からである。
 為に、富は一層最上位階層へ集中していった。
 クリントン政権時代に、若干の修正はあったものの、ブッシュ政権時代に再び最上位階層優遇政策が施された。
 最上位階層が優遇された分、中堅階層は益々没落していった。
 端的な例を此処20~30年のglobalizationで見てみよう。
 中堅階層の代表的な熟練労働者は、globalizationの進展に拠り、海外から安価な製商品が入って来る様になると、自らの是迄の熟練労働の仕事を奪われ、再就職により非熟練労働者へと処遇が落とされる。
 更に、globalizationは、非熟練労働者の仕事をもout sourcingや機械化という形で奪っていった。
 そうして齎されたのは「賃金は低下」=「所得の減少」=「中堅階層の没落」である。
 Globalizationに歯止めがかからない限り、今後も中堅階層の没落は一層顕在化していくであろう。
 一方、最上位階層は、Rent Seekingの効果もあって、『Rent』は益々拡大し、彼等の富は一層増加していく。
 事程左様に、現在の状態を放置していくと、先進国の民主主義は、「中堅階層の没落」と共に崩壊の道を突き進むことになる。
 それを防ぐには、最上位階層への富を、中堅階層&下層へ移動するしかない。
 米国に留まらず、日本を初めとする先進諸国はいずれの国も、中堅階層の復活を具現化する政治制度を一刻も早く確立する必要がある。

■さて重い話はこれ位にして、続いては先週末の09月06日、私用で名古屋へ行った折、徳川美術館と古川美術館に立ち寄った話である。
 先ず、徳川美術館『天下統一‥信長から家康へ‥』展の模様からお伝えする。

[02]本展leaflet
 02leaflet

 Leflet右中段にある刀は、名刀の国宝・津田遠江長光。
 この刀は、織田信長の刀であったものを、本能寺の変の折、明智光秀が安土城にて接収したもの。
 光秀が家老の津田遠江守に与えたことから「津田遠江長光」と呼ばれる。
 本刀は、津田の子孫が加賀・前田利長に仕えた際、前田家に献上された。
 その後、前田家から尾張徳川家へ輿入れの折、尾張徳川家へ。
 その後、一時将軍家の所有となったが、五代将軍徳川綱吉の時、尾張徳川家第四代当主吉通へ下賜され、爾来、尾張家に伝わる。
 本刀は、地鉄の良さと刃文の美しさに定評がある。
 因みに、長光は、鎌倉時代後期に活躍した、備前刀の刀工。
 小生は、本展はこの『津田遠江長光』を見ることが出来ただけでも、来館した価値があったと納得している。

■続いては、古川美術館『芸術寸法-床の間芸術から会場芸術への展開』展の模様である。
 本展は、『床の間』空間がkey word。
 小生は、専ら「絵画」が好きなので、今回も展示作品の中から2点ご紹介する。

[03]横山大観『海暾』1940年
 031940

[04]徳岡神泉『白鷺』
 04

【小生comment】
 本展図録がない上、小生ついウッカリして、出品目録を持って帰るのを失念して仕舞った。
 上記作品以外にも良い作品が幾つかあったが、実名を出してご紹介出来ないのが残念である。
 毎度のことだが、ホント小生はそそっかしい。(^^;;

【後記】09月06日(土)夜は、原則年2回開催している、大学時代の弓道部時代の同期と一年上と一年下の3学年合同の同窓会を名古屋駅前の居酒屋にて開催した。
 先述した06日の私用とは、この同窓会のことである。
 幹事は、此処でも小生‥。(^^;
 今年は06月07~08日に時習26回生卒業40周年記念懇親会があった為、何かと忙しく例年より2箇月程遅れての開催とした。
 因みに、今回は一年先輩が、今年デンソーの子会社アスモの社長に就任したので、そのお祝いも兼ねての開催となった。
 添付写真[05]の前列左から2人目がその近藤社長である。

[05]大学弓道部第17-18-19代ミニ同窓会〔その1〕
 051718191

[06]同上〔その2〕
 062

 今、拙宅の中庭に白い彼岸花が咲いている。
 別名は曼珠沙華。
 赤い彼岸花はまだ蕾もない状態なのに‥。
 不思議だ!
 彼岸花というと、この名句がいつも浮かんで来る‥

 つきぬけて 天上の紺 曼珠沙華 山口誓子

 昨日の様な快晴の秋空に向かって、すっくと立って咲いている彼岸花‥
 凛としてこの上なく美しい‥。
 小生、この俳句が大好きだ。

[07]拙宅の中庭に咲いた白色の曼珠沙華〔彼岸花〕01
 0701

[08]同上02
 0802

 では、また‥。(了)

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